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6月, 2024の投稿を表示しています

ずっと散歩したくなる音楽

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Volume.6  COURTNEY BARNETT AND KURT VILE そのとき、 このレコードだけ買わなかった。コートニーのファーストEP、”A SEA OF SPLIT PEAS" ”Sometimes I Sit & Think& Sometimes I Just Sit"など が中古レコード屋にまとめて売っていて彼女のことは全然知らなかったし聴いたこともなかったのだけれど、ジャケットが気になったのと安かったのでそこにあったコートニーのレコードを確か3-4枚買った。でもなぜかこのアルバムは得体のしれない男がジャケットに映っていたので買わなかった。デュエットアルバムにあまりいいものがないような気がしたので。でも2日後、なぜかずっと心に引っかかっていたので再度そのレコード屋にいったらまだあったので買った。カートヴァイルという音楽家もはじめてこのレコードで知った。 これは摩訶不思議なレコードだ。まずLPなら必ず好きになれない曲が1曲ぐらいあるのが普通だけどそれが無い。次にコートニーとカートの相性が良すぎて聴いているとどちらの名義のアルバムだとしても全く違和感がない。カートヴァイルのアルバムは時としてヘヴィになるスポットがあるのだがこのアルバムはコートニーとのバランスが最高で聴いていると肩の力がどんどん抜けていく。そしてこのレコードは毎日のようにターンテーブルに乗ることとなった。 後々まで気づかなかったのだが、バットシーズのミックハーヴェイ、ウォーペイントのドラマー、モズラステガワもこのアルバムに参加している。二人とも大好きな音楽家なのでその話はまた。 LOTTA SEA Lice / courtney barnett and kart vile Marathon Artists and Matador Records 2017 MA0114LP 

モルヒネ

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 おそらく日本では忘れ去られてしまったバンドの一つであろう、アメリカボストン出身のバンド MORPHINE 。1999年イタリアでの演奏中に客死したマークサンドマン。彼が生きていたらと思うと本当に寂しい気持ちになる。2弦スライドベースを駆使してLOW ROCKとネーミングしたり、日本公演(行ったのはクラブクアトロ)では「砂男で~す」と片言の日本語で自己紹介したり大好きな音楽家だった。彼らの間違いなく最高傑作であるセカンドアルバム ”cure for pain”。このアルバムは元ドラマー、ジェロームデュプリが数曲叩いている。ファーストアルバム(セカンド発売後リリースされた)の”good” で奇想天外なドラミングでリスナーをけむに巻いていた恐るべきドラマー。このあとビリーコンウェイがメンバーに。そこからの彼らの世界中にわたるツアーが始まる。もともと船乗りでタクシードライバーでコックだったマークにワールドツアーが苦になるわけもないはずだったが過酷な音楽のツアーは彼曰く「もう二度とやらない」と言わしめたものだったらしい。3枚目”yes" 、4枚目 "Like Swiming" と発表。"SUPER SEX" のヒットもあったけれど、アルバムとしてはどう聴いても1枚目2枚目以上ではなかった。マークの死後発表された 最後のアルバム ”The Night" は彼がこれから新たな音楽をやろうとすることが垣間見ることのできる素晴らしいアルバムとなっていたので、本当に寂しい。 これもまたマークの死後発売された(おそらくCDのみ)彼の未発表曲やトリートハーライト時代の曲など収められた"Sand box"は聴きごたえがある。このCDに収められた曲はマークの才能のスケッチブックといえると思うし楽曲もモーフィン以上?の曲もある。 RYKO DISCから発売された ”cure for pain" 。1曲目のダナのサックスから2曲目 大名曲 ”BUENA” へ。フォロワーがいない 彼らだけの LOW ROCK の世界。 MORPHINE / cure for pain  RYKO MOVLP1783 MOV000893 1993 ON Vinyl 2016 Made in the EU

天にのぼりたいなら

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 Volume.4   LUNA くたくたに疲れて、へとへとに気が滅入って、なにも考えたくないし考えられず、でもすぐに布団に入って眠りたくないとき、このレコードをターンテーブルに乗せます。LUNA "Penthouse" 。 いつもは静かに淡々と奏でるディーンのギターがここではもう天にも昇る伸びやかさをもって奏でられる大名曲 (好きすぎてシングル2枚持っている)  ”MINUTES IN BRUSSELS" 収録。 "KALAMAZOO" " HEDGEHOG" などなど、ジャケットの美しさと相まって夜中一人、無の境地に連れて行ってくれる曲が詰まった素晴らしいアルバム。 今日はくたくたに疲れてへとへとに気が滅入って何も考えたくないし考えられず、でもすぐに布団に入りたくなかったので、このアルバムを聴いています。 LUNA / PENTHOUSE BEGGERS BANQUET RECORDS 1995 BBQLP178 

たとえるなら、うんと濃いブラックコーヒー

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Volime.3  MUDHONEY 名著「ビニールジャンキーズ」(ブレッド・ミラノ著)にこのバンドのギターリストであるスティーヴターナーも登場する。音楽をやる前からレコードに憑りつかれていたミュージシャンは多いらしい。ツアーもお金もなくて何千ドルもするジャッキー・スターク&ザ・ビーチ・ブッチャーズのレアシングルを彼女に言われて売ってしまった後に、自分は他の憑りつかれたコレクターとは違うことに気づけて良かったなどこの本で言っているけど、まったく本心でないことがよくわかるがゆえに、スティーヴターナーに親近感を持ってしまう。きっと滅茶苦茶いい人なんだろう。 マッドハニーのシングルを1枚または1曲を選べ、と言われたら迷うことなくこの1枚を選ぶ。この曲を聴いて影響を受けなかった星の数ほどいるグランジバンドはいないだろう、と思う。この人たちはそもそもグランジなどまったく関係がなかったのではないだろうか、とも思う。ただ自分たちの好きなレコードの音楽のように演奏してみたい好きな音楽をちょっと解釈を変えてやっているという、そんな気がする。 このシングルはスプリットでB面がSPACEMEN3 の曲。500枚限定で発売されたらしいけど、そんなことも知らずにたまたま買ったシングルでマッドハニーにはまってしまった大切なレコードでもある。ジャケットから音楽から、やたら濃いブラックコーヒーという印象は今でも持ち続けている。なんてかっこいい曲なんだろう。 MUDHONEY/REVOLUTION   Side B SPACEMEN3/When Tomorrow Hits Not On Label 1992 Unofficial Release

想像するだけで幸せになる音楽

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Volume.2   SUPER CHUNK とある音楽雑誌に特集が組まれていて、そのバンド名と何枚かのジャケットのデザインでずっと気になっていたのが彼ら、SUPER CHUNK。このアルバムIndoor Livingは8枚目の(多分)アルバムでこれが初めて聴いたスーパーチャンクのレコードでした。 青空を突き抜けるようなストレートなビートと虹のようなメロディ。そして晴れやかに時に雨が降るように感情豊かなマックマコーンの歌声。 街を歩いているといつも彼らのことを思い出します。彼らの演奏している姿と音楽は頭の中に焼き付いていて幸せな気持ちにさせてくれるからです。 ローラはこのアルバムがあまり好きでないらしく、 ローラ・バランスが自ら選ぶSUPERCHUNKのアルバムベスト10 (vice.com)  ←※これ最高です。 でも、このアルバムが間違いなく彼らとの最初の出会いなので大切な、そして大好きなアルバムです。ローラはもうライブに参加していないのでなんだけれど、彼女のヘッドバンキングしながらベースを弾く姿は本当に素敵で大好きです。 SUPER CHUNK / Indoor Living Merge Records 1997 City Slang04997-1 (Germany)

パソコンを買ってレコードの音楽について日記を始める。

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Volume.1 JESSICA PRATT  今日ノートパソコンを買った。ずっと増え続けるレコードの記録を書きたいと思っていた。携帯では画像や文字が小さすぎ書く気力さえ萎えてパソコンが欲しかった。 今まで手に入れた多くのレコードは1980年代からはじまるアメリカのロックがほとんどだけれど、ロバートワイアットやフォール、クランプスなど一度好きになると国は問わず追い続ける。英語の歌詞の内容を聴き取るほどの英語力もなく何故英語圏の音楽が好きなのかよく分からないがそれについてはいつか考えてみたい。聴いたことのない音楽家でもレコード屋さんでジャケットでピンときたらためらわず購入することも多い。 そのピンときた1枚。ジェシカプラット通算4枚目のフルアルバム"HERE IN THE PITCH" 。今日1日で10回以上聴いている。 1987年サンフランシスコ生まれ。どことなく若きマリアンヌフェイスフルを思わせるそれでいて、サイケデリックな音作りに流されない全編を通して芯のある歌声、メロディー。何気ない料理に見えるがテーブルにいる人々を知らずに幸福にする料理。バベットの晩餐会の音楽バージョンだろうか。幸福に満たされる、美しい音楽。 またずっと追い続けたい音楽家と出会ってしまった。 JESSICA PRATT / HERE IN THE PITCH CITY SLANG RECORDS SLANG50494LP 2024